AKB48の楽曲の売り方について、58thシングル根も葉もRumorから考える
58thシングル「根も葉もRumor」
発売おめでとうございます!!
2021年9月29日、ついにAKB48のシングルがリリースされました。1年半ぶりにして58枚目のシングル、3948日ぶり(サンキュー48、気づいた方素晴らしい、大感謝。)のAKB48メンバーのみからの選抜メンバーでのシングルリリースでもある今作は、カップリングも含めれば全メンバーの声がレコーディングされているというところでもオールAKBでのシングルらしさを感じます。
表題曲にはABCマートのタイアップが付いてます。AKBの曲にタイアップがつくのはおそらく56thシングル「サステナブル」のカップリング「好きだ 好きだ 好きだ」(トヨタレンタカー)以来。
57thシングル「失恋、ありがとう」を全曲ノンタイアップで出したことを思うと非常に喜ばしいです。
7月時点でのTV初披露、発売一週間前からの表題曲選考配信、完成版MVより先のYouTubeダンス動画投稿、選抜メンバー以外も含んだ積極的なSNS投稿などなど本作に対する意気込みがAKBから伝わってきますし、コアファン以外にも発信する形を取れているのはすごく良いと思います。
ここまでは良いことを並べましたが、
CDセールス面では本作AKBにしては苦戦しています。
オリコンチャートで
初日(フラゲ日分)320489枚
2日目5413枚
3日目2772枚
4日目17708枚
5日目2050枚
6日目2181枚
7日目デイリー6位
初週はオリコン調べで350677枚。(ビルボードは428608枚、AKBはビルボードの方が売上高く出ます、大きくは劇場盤のカウント方法なのかなと思うのですが、詳しくは私は知りません)
オリコンのCD、合算、ビルボードのCD、HOT 100どれも
週間1位を取ってる点は文句なしです
それでもCD売り上げの落ち込みは大きいです。AKB48は「桜の木になろう」から10年にわたってCDシングルのミリオンセールスを続けてきましたが、今回は初週はもちろん累計でも50万枚が厳しそう。
アーティスト1グループのシングルの売上だと考えれば悪い数字ではないですが、AKBの規模感、一時期の数字を思うと寂しい数字なのも事実。
握手会がオンラインお話し会になっていること、オンラインお話し会に姉妹グループのメンバーが参加しないこと、初回盤の特典が抽選への応募券になっていること(以前は全国握手会の参加券)などから売上が落ちる(初日がガタっと落ちてるので実際劇場盤が顕著に落ちました)ことは想像できていましたがそれを考えても楽観はできない数字と思います。
劇場盤が減るのを当然だと考えれば、問題なのは初日と4日目以外の売上です。この二日分は劇場盤の出荷による売り上げが中心と考えられますので、それ以外の日は通常盤と初回盤の売上ですが、ここがあまりに弱いです。
AKBのファンの方は知ってると思いますが、劇場盤は個別握手会(今はオンラインお話し会)の参加券がつく形態で、購入自体が予約制(上限を上回れば抽選、当たった分のみ購入)の形態。購入手順はそこまで難しくはないですがAKBの曲をまず聞いてみようかという人向けというよりはよりAKBを楽しみたいコアファン向けの売り方です。買えば確実にイベントに参加できる&1枚生写真が付いてくるのでお得といえばお得だと思います。
劇場盤が当たった分だけ購入なのは多くのアーティストで行われているCD特典商法の中では相対的に優しい部類じゃないかなとさえ思いますが、それは別の話。
この劇場盤しか売れていない傾向は数年前からずっとそうですので今に始まったことではないのですが、個人的にはこれをそのまま放置するのか?という点には大いに疑問を抱きます。
ここで58thシングル「根も葉もRumor」の収録内容を見てみますと
CD
Type-A
M-1「根も葉もRumor」
M-2「離れていても」
M-3「大騒ぎ天国」
M-4 M-1(off vocal ver.)
M-5 M-2(off vocal ver.)
M-6 M-3(off vocal ver.)
Type-B
M-1「根も葉もRumor」
M-2「離れていても」
M-3「西高東低」
M-4 M-1(off vocal ver.)
M-5 M-2(off vocal ver.)
M-6 M-3(off vocal ver.)
Type-C
M-1「根も葉もRumor」
M-2「離れていても」
M-3「君がいなくなる12月」
M-4 M-1(off vocal ver.)
M-5 M-2(off vocal ver.)
M-6 M-3(off vocal ver.)
劇場盤
M-1「根も葉もRumor」
M-2「離れていても」
M-3「ブラックジャガー」
M-4 M-1(off vocal ver.)
M-5 M-2(off vocal ver.)
M-6 M-3(off vocal ver.)
(Type-A~Cは通常盤初回盤あり、ディスク以外の特典で通常盤はランダム生写真1枚、初回盤は特典抽選応募券1枚、劇場盤は個別握手会参加券+劇場盤生写真1枚 or 劇場盤生写真2枚)
通常盤初回盤の付属DVDは
A,B
M-1「根も葉もRumor」 Music Video
M-2「根も葉もRumor」 Dance Ver.
M-3「離れていても」 Music Video
C
M-1「根も葉もRumor」 Music Video
M-2「根も葉もRumor」 Dance Ver.
M-3「君がいなくなる12月」 Music Video
ディスクの収録内容はCD、DVDとも通常盤初回盤で変わりありません。
*通常盤初回盤は1700円、劇場盤は1100円
これを見たうえで
私の主観ですがこれは改善して欲しいなあと思うことを下に記します。
・AKBは以前は各形態ごとでそのまま配信していましたが、根も葉もRumorでは坂道同様のSpecial editionでの配信に移行しました。このSpecial edition、非常にコスパがいいです。この形態はオフボーカル収録をオミットする代わりに1200円くらいで全楽曲が揃うという仕様。オフボーカルとカップリングのMV(根も葉もRumorにはそもそもないですが)を求めなければ、この形態をダウンロードで十分です。
これ自体は素晴らしい前進だと思うのですが、CDを売りたいのであれば、このコスパの良さを上回るメリットが生み出せる売り方をできないと通常盤初回盤の売上回復は見込めません。
・収録曲数が寂しい。今回は各形態で収録曲数3曲ですが、前作の「失恋、ありがとう」では2曲、今回は昨年に配信されていた離れていてものCD収録なので今後3曲が続くかは怪しいです。
以前のAKBは3曲収録がわりと普通だったことを考えるとCD収録内容が減っています。
・根も葉もRumorでは3曲目のMVが制作されていないため、DVDの収録内容がすべてYouTubeにアップロード済み。DVDの画質を考えるとネット環境のない人くらいしかこのDVDを手にする意味がなくなってしまってるのですが、オンラインお話し会をやっているアイドルでそのようなファンのことを一定数以上想定しているとは考えにくいですね。
坂道はDVDからBlu-rayにシフト済みなのを考えると1900円でもいいのでBlu-rayの検討をお願いしたい。
・DVDの収録内容がMVだけ。DVDにしてもBlu-rayにしても、特典映像を追加していただけると通常盤初回盤の意味合いが大きくなります。MVのオフショットをディスクに積み込むなり、レコーディング風景や撮影風景のメイキングを10分くらいは入れるなりできたのではないでしょうか。
フルバージョンのダンスプラクティスをYouTubeで公開しているくらい全体の売り方はよくなっているのですが...これだけオンラインで楽しめるとDVDの意義を見つめなおすべきなのかと思います。
AKB48はCD売上で有名ですが楽曲配信も以前から行っています。直近の数字は芳しいとはいいがたいところもありますが、YouTubeのチャンネル登録者数は200万人越え、1億再生のMVが複数ある国内有数のアイドルという面も持っています。
CD以外でもコンテンツを出しているアイドルであるからこそ、1枚1700円のCD+DVDの価値を見つめなおしてくれるとなお嬉しいです。
ここまでCDの売り方の話をしましたが
ビルボードの各指標で見ますと改善してる指標もあります
・ダウンロード
失恋、ありがとうの75位から23位まで改善しています。通常盤初回盤を買わずにダウンロードした方が増えたり、まず表題曲1曲ダウンロードしようかという方が増えたのかなと考えています。多くの人に届くような曲を、多くの人に届けようという姿勢が実ったのではないでしょうか。
これも前作20位から6位まで改善しています。話題作りという点でAKB公式アカウント、メンバー、ファン、それぞれ力の入れようを感じられました。webCMのタイアップがあったのも大きいでしょう。今のAKBのエンターテインメントを積極的に発信すること、大事だと思いますね。
私も昨年戻ってきたようなファンですが、AKBこれまでほぼ知らないような方、一度離れてしまっていた方が入ってきやすい雰囲気を醸成できれば楽しいですね。